なんであたしは「あいり」じゃなくて「えり」なの?
最初に口にしたのは確か、小学校3年生のころ。
あのころはどうしようもなく同じクラスの子の『夏姫』や『麗美』っていうかわいい名前に憧れていた。
初めて会った先生には必ず「おおかわあいりちゃん」って言われて訂正するのが恥ずかしかった。
あたしが由来を初めて聞いたのは小学校5年生のころ。
「お父さんが平松愛理って言う歌手が好きだったのよ。それと、【里】が真ん中で対称になってるでしょ?それが気に入ったのよね。
あと、サザンの【愛しのエリー】が好きだからね。」
…正直、そんなことで決めたんだと悲しくもなった。
中学校1年生のころ、おじいちゃんから由来を聞かされた。
「恥ずかしいからあんな事言うたんよ。ほんまはなぁ、
【何処の土地に行っても誰からでも愛される子になりますように】っちゅう願いでつけられたんやで。だからなぁ、そういう子にならなあかんよ。」
本当に嬉しかった。
いつもはなんとも思わない自分の名前にそんな意味があったんだと思うと大切にしたいと思った。
自分の名前に、自信と誇りを持って生きたいと思った、そんな2年前のことだった。
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