―色々な人や事に恵まれた人生を歩んで欲しい
父がつけた名前。正直キライだった。
だって平凡なんだもん。
なんでもっと可愛くて、個性的な名前にしてくれなかったの?
幼い頃、よく両親に文句を言った。
大きくなるにつれて、自分の名前がますます嫌になった。
好きな人が出来てもすぐ振られるし、学校でいじめられる。
バイトも決まらない。
学校の成績も上がらない。
なんだ、全然恵まれてないじゃん、私。
それから数年後。
結婚が決まって、ある日母から渡されたもの。
写真館で撮ったポートレート。
そこに写ってたのは両親と私。
生まれて一番最初に両親の愛情に恵まれた私がいた。
なんだ。
私、恵まれてる。
なんだかほっとした。
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