先生も、部活のコーチも、友達も、初対面の人は誰も読めないこの名前が正直好きじゃなかったです。
新しい友達が出来て初めて話題になるのは私の名前、と言う事も多かったし、
正しく『なるみ』と言う名前が読めなくて『いくお』と新しく担任を持たれた先生に性別まで間違えられた事もありました。
HRの時に間違われたりするからその度に私は皆の前で注意しなくちゃになって、その度に辺りから笑う声が聞こえて。
それがきっかけで友達が出来た事もあったけれど、そんな可笑しかったから友達になったとか言うのはずっと嫌でした。
「面白いね」と友達が言う度に、褒めてるつもりでもけなしている様にしか思えませんでした。
でもそんな私の考え方を変えてくれたのは一人の友達の言葉でした。
「あたしは育生の名前好きだよ。あたしの名前を持つ人はこの世界にもっといっぱいいるかもしれないけど、
育生ってかいて「なるみ」って読むのはあんたしかいないじゃん。世界中で、育生だけなんだよ」
友達が「育生」と私を呼んでくれたのなら、それはこの世界中で私だけを呼んでくれた事になる。他の誰でもない、私だけを。
手紙やメールに「育生」ってうってあったなら、それは私だけを指しているんであって、他の誰でもない。
見慣れた私の字で自分の名前を書いてみても、何処か特別に見える。
たった一人しかいない私にこの世の中でたった一つの名前がついている事。
それは当たり前に思えても、決して当たり前ではない奇跡なのかもしれないと思えました。
もしかしたら私と同じ名前を持つ人がこの世の何処かにいるかもしれない。私と同じ名前でなくても、珍しい名前で同じ思いをした人がきっと沢山いる。
きっと私と同じように名前を間違えて読まれて迷惑に思った事もあっただろうし、馬鹿にされた気がして腹が立ったこともあるだろうと思います。
でも友達が私に教えてくれた大切な事を、その人に伝えたいです。
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