初めて聞いたのは小学2年生の時、宗教の授業での宿題だった。
帰ってからすぐにお母さんに聞いてみた。
すごいエピソードが聞けるかと思った。本みたいな話を…
でも返ってきた返事は小学生の私にとって余りにも現実的なものだった。
「絶対に読み間違えられないからだよ。入学式の時とかに言い直さなくてもいいように。お母さんがよく間違えられたからね。」
「それだけ??」
「後は、ローマ字のバランスがよかったから。」
「……ふーん。」
正直がっかりした。
自分の名前があまり好きじゃなくなった。
それから4年位後、もう一度聞いてみた。
すると2年生のとき聞けなかった解答が返ってきた。
「沙紀の沙の字、おばあちゃんが好きだったんだよ。」
確かに「さき」って漢字、いっぱいあるけど【沙紀】って字はなかなかいない。
その瞬間すっごく嬉しくなった。
この名前にはみんなの希望が全部はいってる。
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